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「エフエムふじごこ」にて財団提供番組を放送しています!
粟井財団では毎年、山梨県内にて活動を行う諸団体を対象に公募助成事業や公募寄付事業を実施しており、2025年度は54団体に支援をしています。
そこで、今年 4 月より「エフエムふじごこ」にてスタートさせたラジオ番組「伸太郎にきく!」では、財団の支援団体に毎月出演をしていただき、活動の現状や課題について対話をすることで、視聴者の方々に団体活動への関心をもっていただきながら課題解決の糸口も探っていくことを目的として企画を進めているところです。
団体のお話を聞いてくださるパーソナリティーの伸太郎さんは、山梨県出身のシンガーソングライターとして多方面でご活躍をなされている他、地元ケーブルテレビ局CATV富士五湖が提供する番組「伸太郎、やらせていただきます」「伸太郎がゆく」を通じて富士山麓地域の方々との交流や地域課題への理解を深めてくださっておりますので、団体の方も安心して相談をすることが出来ます。
去る5月20日、富士吉田市内のエフエムふじごこ放送局にて6月放送分の番組を認定NPO法人富士山クラブの佐伯氏を招いて収録いたしました。
佐伯氏からの「特定外来植物であるアレチウリの除去作業に、地元の方の参加を増やすにはどうしたらよいか」「アレチウリはどうしたら一掃できるのか、一掃に近づくアイディアを教えていただきたい」という2つの相談内容に対して「近隣飲食店とコラボし参加景品として割引券を配布してみては」「参加した子供に感謝状を渡したら喜ぶのでは」など具体的なアドバイスを沢山いただきました。相談者の佐伯氏からは「参加者の皆さんが達成感を得られるような、喜んでいただけるようなことを早速試してみたい」とのお声をいただきました。
番組は毎週木曜日の14:00~14:30にて放送中です。インターネットサイマルラジオ(https://www.
今回スタートしたラジオ番組を通じて、各団体の課題を解決するための一助となり、富士山麓における環境保全や地域活性がより一層図られるよう進めてまいります。
野鳥観察スキルアップ講座を実施しました!
去る5月6日、野鳥観察スキルアップ講座を、講師に山梨県富士山科学研究所 研究員 水村春香氏を迎え実施いたしました。
講座の前半は富士山科学研究所1階ホールにて講義を、後半は屋外の生態観察園での観察会の予定でしたが、開催当日はあいにくの雨でしたので、後半は室内にて鳴き声のレクチャーや質疑応答に代替いたしました。
前半の講義「鳴き声を知ろう、探そう!富士山麓の鳥」では①富士山の鳥類相とそれを取り巻く現状②鳥類相モニタリングについて③音響による研究について④鳴き声クイズ⑤まとめ の構成で進めていただきました。
富士山は多様性豊かな自然環境により鳥類相も豊かな地域です。しかし世界的には、人間の活動が主要因として「第6の大量絶滅時代」と言われ、日本では身近なスズメも絶滅危惧種になってしまうペースで減少しているそうです。また、シカの増加や外来種の増加も在来種の鳥類への影響が懸念されているとのことでした。
鳥類保全のためには現状把握のためのモニタリングが必要で、その種類と方法についても教えていただきました。
また、鳴き声には、主にオスが子育てをする季節に発する「さえずり」と、ふだんの会話となる「地鳴き」があり、それらが同時に、また複数の種類も同時に鳴く状況での聴き分けを調査現場で行っているそうです。
そこで今回、参加者の皆様も「鳴き声クイズ」に挑戦。同時に鳴いている5種類の鳴き声が何の種類か、そして「さえずり」か「地鳴き」かを考察しました。
最近はAIによる自動検出にも取り組まれていて、今後の業務効率化が期待されます。
前半の講義を終え、屋外での観察のため施設の外に向かいます。しかし当日の降雨により軒下からの観察のみとなりましたが、そこでも鳴き声がいっさい聞こえず、といった状況でした。
気を取り直し、再度室内にて、屋外で観察されたであろう種類の鳴き声を録音音声にてレクチャーをしていただきました。
カラ類は、シジュウカラ、ヒガラ、コガラ、ヤマガラなどおりますが、聴き分けるためには、まずシジュウカラを基本としてインプットし、それとの違いを聴き分けるとよいとのアドバイスをいただきました。
また、おすすめブックリストやWEBサイト、アプリも紹介もあり、事後学習のフォローもしていただきました。
参加者からの質疑応答の後、予定より早めに解散。
今回、屋外での観察が出来ませんでしたが、教えていただいたことを参考に身近な野鳥を観察することで、自然環境への関心をより深めていただくことを期待しております。
富士山美化活動を実施しました!
去る4月19日、富士吉田市農村公園周辺の美化活動を実施しました。
集合場所である農村公園の周辺には約40haの城山東農振地区が広がっており、水稲の他、クレソン、トウモロコシ、大豆などが作付けされている、富士北麓の中でも農地面積が大きくまとまった地域です。
年に1度はゴミを回収する重点地域となっていて、今年も20名の参加者に参集いただき、2班に分かれ2㎞程のコースを約1時間半で廻りました。
集合場所に戻りゴミを分別。
分別の結果、可燃物400ℓ、不燃物300ℓとなりました。
初めて参加された方からは「思っていたよりもゴミが多かった」との感想をいただきました。
また今回は、参加者の方に自宅周辺や職場周辺のゴミを自発的に拾っていただきたいという願いを込めてそれぞれに「トング」をお配りしました。観光客の増加に伴うポイ捨てが地域で問題になっていますが、広報や看板設置と併せて、拾う人を増やしていくことで解決できればと思っております。
初夏のような陽気となった開催日でしたが、ご協力していただきました皆様、大変にありがとうございました。
シイタケ植菌体験会を実施しました!
去る3月22日、富士吉田市内の山梨県立ひばりが丘高校の敷地をお借りして「シイタケ植菌体験会」を実施しました。
今回で3回目のご協力をいただく富士北麓森林組合様の指導のもと、250名の参加者に体験をしていただきました。
ドリルで穴を開けたナラの原木にシイタケの種菌を打ち込むのですが、雑菌が入らないよう打ち込む直前に穴を開けます。4人がかりで作業をしていただきました。
45㎝の長さの原木に穴が20カ所ほど作られ、そこに参加者が木づちで種菌のコマを打ち込みます。
今年は打ち込んだコマ菌の上に蝋を塗っていただきました。雑菌繁殖防止になるそうです。
体験会場は家族連れや友人と共になど富士北麓在住の方を中心に賑わいました。それぞれに森林組合の方が丁寧に指導をしていただき、管理方法も合わせて説明していただきました。
シイタケの収穫は早くて翌年、一般的には翌々年とのことです。
原木から成る、美味しいシイタケが収穫できることを期待しております。
整備森林におけるチョウ類調査結果について
粟井財団では、水資源の保全を目的として富士山麓標高1,100mに位置する森林にて草刈や除伐、間伐作業を行っております。
併せて、これらの作業が森林に生息する動植物の生態にどのような影響を及ぼしているかの調査をこれまで各種専門家に委託をしてまいりました。
2024年度、富士山生物多様性研究室に委託し2024年4月から10月にかけて実施されたチョウ類調査結果についてここに概要を報告いたします。
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【調査方法】
・4月~10月にかけて月2回の調査実施(4月は1回)
・好天の日の9:00~16:00の時間帯に調査コースを1㎞/h程度の速度で歩きながら、コース両側5mの範囲に出現したチョウ類全種の種名、個体数、時刻などを調査表に記録
・現在林業作業をすすめている森林内では全長約800mのコースを設定
・2013年~2017年まで作業を行った森林内では約2,000mのコースを設定
・その他に梨ヶ原草原内など5つのコースを設定
【調査結果】
・現在作業をすすめている森林内には1年を通じて27種のチョウが確認された。この森林を特徴づける種として環境省絶滅危惧ⅠB類ヤマキチョウと山梨県準絶滅危惧オオチャバネセセリが挙げられる。オオチャバネセセリは森林内のミヤコザサ群落で発生したものと考えられる。その他の種ではヤマトスジグロシロチョウやヒメウラナミジャノメ、アサギマダラの個体密度が他のコースに比べ高かった。これはそれぞれの主食草である植物が生息しやすい、間伐や草刈を実施した環境が反映されたと言える。つまり、間伐や草刈といった作業によって植生環境の多様性が高まり、その結果としてそれらを利用するチョウ類の生息を促し、生態系の多様性を高めたと言える。
・2013年~2017年まで財団が作業を行った森林内には1年を通じて44種のチョウが確認された。この森林を特徴づける種として環境省絶滅危惧ⅠB類ヒメシロチョウとヤマキチョウが挙げられる。特にヒメシロチョウが高密度で確認されたことは特筆されるもので、春に発生した個体が梨ヶ原草原に戻って産卵することで、春の火入れによる越冬個体群の減少を補完しているのではないかと考えられる。
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チョウ類は幼虫のほとんどが草食性であることから、多くの種類のチョウが生息する環境は、草原植物の多様性も高いと考えられます。このようにチョウ類は草原環境の生物多様性を測る上で重要な指標となっています。
これからも森林整備作業を進めることで高まる富士山麓の生物多様性に期待し、併せて観察会や調査結果についての学習会を開催することで生態系の保全啓発を図ってまいります。